2015年 03月 01日
回想録その1
船がドバイに向けて出港するその当日、担当者君が船にやってきて次の契約の話しよ〜と連絡が来たので
①もう日本チャーターはやだからね。
第一歳なんだから、飛行機の長距離移動はご免だぜ。ヨーロッパにいさせてくれ。年末に600人の大団体が他の船に来るらしいけど、そっちに移動はいやよ〜
②次の契約は日本人がいっぱいくるエーゲ海がいい
とまー、自分の主張ばっかして(苦笑)、それでも担当者君はいやな顔一つせず、ちゃんとメモとって、じゃ、エーゲ海の船にアサインするからね。と言ってくれて別れました。
船は無事にドバイに着き、前に一緒に働いたことあるドイツ語担当のオーストリア人の同僚、その彼氏とつるんでどこいくにも一緒、楽しい楽しい船上生活を送っておりました。
そんな折、日本人の同僚さんから、年末600人日本人が来るので、下船したばかりで申し訳ないけどそっちに行ってくれ。って担当者くんから連絡があって、受けることにしたけどこんな大人数やったことなきゃ船も知らないんでアドバイス下さい。というメールが届きました。
その時日本人のお客様が80名様ほど乗船中でバタバタしてたので、これが終わってからゆっくり返事書きます、とだけ返事しておきました。
この時点で、よし、私が船を移動することは完全になくなった。
とかなり安心しておりました。
それから数日後。
再び日本人の同僚さんから、いろいろ事情があって年末年始の600人やってくる船には乗らないことになりました。とだけメールが。
えー
ちょっと待って、アナタが行かなきゃ、他の日本人の同僚は8ヶ月という長丁場を終えて下船したばかりで誰もまたすぐ船になんか乗りたくないでしょ。私が移動しなくちゃいけなくなるんじゃないの?
それに何で行けなくなったの?何が起きたの?
と自己混乱してるところに、船内でしか通じない携帯電話が鳴り出ると
「ジェノバから衛生回線で電話が入ってます」
・・・・ああ、きっと担当者君に違いない・・・・
混乱したまま電話にでるとやはり、担当者君で
「○○子(日本人の同僚の名前)がね、給料アップを要求してきたんだよ。
でもキミも知ってる通り、給料をあげるには一定の基準を満たさなくちゃいけなくて、彼女はそれを満たしてない。なのにアップを要求して給料あげなければ船に乗らないって言うんで、解雇した。」
か、解雇?
「なんで、大変申し訳ないけど、シンガポールに飛んでくれ。本当は明日飛んでもらえるといいんだけど、そっちも準備があるだろうから(てか、お客さんいるし!途中で放棄できないでしょ!)、次のドバイで下船して移動して。ただ次の船に乗る日と600人の日本人が乗ってくる日が同じだから、準備期間がなくて大変だけど。」
(T_T)
嫌な予感は的中。
600人がやってくるコースはシンガポール、マレーシア、タイと悪くないけど、乗船していきなり600人は老体にはきついぜ。
でも仕方ないですもんね、他に送れる人がいないんだもんね。
はいはい、行きますよ。でも向こうの船には別の、もう一人日本人の同僚が乗ってるから私はこの年末年始の応援だけで、それが終わればまたドバイに戻って来れるよね?
という質問に担当者君は「努力する」とだけ言って明確な回答はくれませんでしたが(その理由は別の船に移動してからすぐ発覚することに)、担当者君から、受けてくれてありがとう、キミはもうこれでVIPだ(いらんわ、そんなもん!)と感謝され、仕方なく泣く泣くシンガポールに旅立ちました。
乗船当日。
我々乗船クルーが船に乗るまでのお世話をしてくれているエージェントが
「エマージェンシー、エマージェンシーだから、すぐ乗船して!」
と私を捜しており、ああ、600人乗ってくるから一刻も早く乗れっつーことだな。と思ってエージェントの人の後に43kgの荷物をひっぱりながら(涙)ついていくと、船の乗船口でクルーが数人待機。
部屋の鍵、所持品申告書(これは普通乗船してから書きます)を渡され、記入が終わるとクルーが私の荷物を持って、とにかく荷物はこっちで運ぶからすぐ乗船してくれ。と急かされ、あわあわしながら乗船するとクルーズディレクター、アシスタントクルーズディレクター、ツアーマネージャーが雁首揃えて私の到着を待っており(苦笑)
「あーお越しになられた!」
とクルーズディレクターなんて土下座しながら熱烈歓迎してくれましてね。
大袈裟だね、キミも
とにかく制服に着替えて、あとこれが船内携帯、何かの時のためにトランシーバーも渡しておくから。(携帯があればいらんでしょ?)といろんなものを乗船口でわさっと渡され、非常に慌ただしく乗船しました。
そして日本人同僚さんとも、船内新聞は出来てる?乗船説明会はどうなってる?600人のJ○Bのグループとの打ち合わせはどうなってる?といろいろ質問を投げかけるも、残念ながら3年もの経験があるにもかかわらず、彼女は一種のミス・オクレさんでして、頭も回らなければ機敏に行動もできない。
だから私が呼ばれたんですが
そして、今回日本人のお客様はこの○T○の600人だけかと思ってたら、JT○に属さない他のお客さんがいることが発覚。
大団体さんには大団体算用の船内での飲み物やお買い物値段設定とか、プライベートで寄港地のエクスカーションとか、船上でのプライベートのイベントとかあるので、乗船説明会は○TBのおきゃくさんとそうじゃないお客さんとで分けてやらなくちゃいけないのに、分けてなーい。
どないすんねん。
ダメだこりゃ
チョーさん、懐かしいっす
担当者君、やっぱギリギリの乗船はリスクでかいわ。ジェノバに帰ってから文句言ったる。
と思いながらも、なんとかしなくちゃ。ってことで、急遽乗船説明会を分けることにし、レターと放送入れてなんとかしました。
しかし彼女の一番ガンだったのが、スロー。会議や表に出る仕事は私にまかされたので、印刷物(メニューや船内新聞)は全面的に彼女に任せたんですが、彼女は手伝ってもらえるものだと思ってたらしく、
「今、時間ある?メニューやって欲しいだけど」
「これから劇場の舞台に上がってショーを閉めなくちゃいけないから、無理」
(これを何度繰り返したことか)
船内新聞も午後11時を回っても出来上がっておらず。
600人って言ったらざっと見ても300室っすよ?シングルユースのお客さんもいるから、もっと。それを配るクルーのこと考えて仕事せんかいな!
その他団体に属してない日本人のお客様もいるんだぜよ!
しかし彼女のスローペースは改善の兆しもなく、何故に同じクルーズを繰り返して、船内新聞だって先週のものをそのまま使い回しして変更したところだけ訂正したらいいでしょ?何でそんなに遅いのおおおおお
とキリキリしてると、私だけではなく、ハウスキーピング(新聞配るから)、クルーズディレクター、その他多勢からも
「仕事が亀以上に遅い!!!!!!」
とクレームをじゃんじゃん貰っていらっしゃいました。
でも、彼女は空気を読むことも周りの様子を察することもなく、ただひたすら自分がミスを犯さないことだけに集中。
なので、船側としては、私が来てくれた。ラッキー。じゃ、このままのりこをキープして彼女はさようなら。という計画が実は水面下で進められていました。
ドバイに帰れるんだとばかり思ってた私は大ショック。
だってこのお正月クルーズが終わったら、船はシンガポールから香港に拠点を移すんで、またも長いクルーズが始まり、メニューも船内新聞も一から全部作り直しの大変な日々が始まる。その前にサボナードバイの19日間の長丁場を乗り越えたばかりだというのに!しかも、これから寄る寄港地なんて行く予定してなかったから、全然下調べなんかしてないし!
もう本当に地獄でした。涙
600名様が無事下船された後は、日本人同僚はpoor performanceで言い訳なしの強制下船となり、私が残りました。
ま、ブルネイとか、コタキナバル(マレーシア)、フィリピンと全て人生未踏の地を見れたから、今となってはいい経験になったなとは思いますけど、クルーズ中は本当、死にそうでした。苦笑
そしてもうすぐ香港に着くよ〜のある晩。
クルーズディレクターから、
「大至急オフィスに来てくれる?」
と船内携帯に連絡が入り、何だろう?と思って行くとクルーズディレクターは電話中で、その電話を誰からかとも言わずに私に渡す。
????
電話に出るとななななんと担当者君でした。
「いやね、ドバイに一杯日本人が来てるんだよ。それなのに日本人クルーが乗ってないから大きなクレームになっちゃってね。で次のドバイで日本人が100人近く乗ってくるから、でも他に送れる人見つからないから、のりこ、ドバイに戻ってくれる?」
おお、神様は存在する!
感涙 感涙
そして船が香港に到着してからすぐ下船、下船後は香港に一泊してマッサージ三昧を楽しみ、69階のバスルームの壁がガラスで透けて見えるじゃん。一人だからいいけど。な超近代的なホテルに泊まって寿司を堪能し、無事ドバイへと戻ってきました。笑
ドバイに戻ってきてからというもの、事情を知らない数人の見知らぬクルーから
「お帰り〜休暇短かったんじゃない?」
と言われ
休暇なんかぢゃないわい。20日間、別の船にいたんぢゃー♯
と説明して(笑)、ドバイのゆったりクルーズを契約終了まで楽しみました。
もっと日本人、採用してけろ。
のドタバタ劇でした〜。笑
by smilenory
| 2015-03-01 03:10
| クルーズライフ